Koji FUKUSHIMA

人生はステージレース。
ツールを目指したい少年から、人生の大先輩まで。
こ〜ぢとロードバイクで遊ぼう! 
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ブックル ドゥ ラ マイエンヌ 【第3ステージ 運命のいたずら】

【第3ステージ 運命のいたずら】
 あっさりと決まった第2ステージとは打って変わって、第3ステージはスタートから力勝負のアタックと吸収が繰り返される高速のめまぐるしい展開となった。兄は昨日の汚名を返上しようと、終始逃げのメンバーが入れ替わっても、逃げを常に牽引し、積極的にレースを動かしている。兄の粘りの走りに、逃げているメンバーとチーム構成の情報が混乱した。その情報に翻弄され、逃げにメンバーを送りそびれている有力チームもあった。中盤の登りで、集団からブロターニュ・ジョンフロックのダビッド・ルレーがアタックした。僕は彼が動く気がして、背後にピッタリとはりついていた。
 逃げグループにメンバーを送っていないブロターニュ・ジョンフロックを代表し、チームエースのダビッドはどうしても追いつかなければならない。彼は僕に先頭交代を要求したが、僕は「兄が前だ。 Shinichi il’est devent」と先頭交代を拒否したら、黙って僕を風下に引き連れながら、先頭を引き続けた。それ以前に彼の素晴らしい独走力で、僕はついていくのが精いっぱいだったが、、、。ついに彼が逃げと集団の宙ぶらりんで終わる期待が外れた。とうとう兄がガンガン引っぱる先頭の逃げグループに僕たちは追いついてしまったのだ。
「お兄ちゃん、来ちゃった」その瞬間、兄は「康司、(メイン集団に)戻れ」と静かに叫んだ。なぜならその第3ステージの逃げメンバー中、前日の第2ステージ、逃げ切った先頭グループでゴールしたのは、僕が一人だけだったからだ。
 兄ちゃんはそのステージでスタートから、積極的に展開を自ら作り、最大のステージ優勝のチャンスを掴んでいた。そこに兄のステージ優勝のライバルとなるだろうダビッドが、あっさりと単独で追いつかないようにしたい。僕はダビッドに、心理的なプレッシャーをかけ、追走をあきらめさせるためにマークしてきたつもりだった。
 だが僕が先頭グループに追い付いてしまった今、逃げグループには僕がいることで、逃げグループそのものが、総合成績を狙うチームから脅威となってしまった。集団に取り残され、先頭の逃げグループにメンバーを送っていないチームは、威信をかけても逃げグループを捕まえるだろう。
 もし僕が万全な調子だったら、僕で総合優勝を狙えるシナリオがある。しかし、たとえどんなに展開に恵まれても、翌日の最終ステージでリーダー死守は無謀だと連日スタート前からつっている僕の脚が一番知っていた。
 しかし、兄は自身の絶好のステージ優勝のチャンスを諦め、僕の第3ステージ終了時点でのリーダージャージ獲得に作戦を切り替えた。それから50キロにわたって、兄がほぼ一人で10名の逃げグループの先頭に立ち続けた。
 僕は何があってのちぎれられない。高架橋ほどの緩く短い登りが壁に感じ、少しでも軽くしないと兄のグループからちぎれると思い、人生で初めて空のボトルを捨てた。異国で闘うチームにとって、機材輸送は大変で、一本のボトルさえも貴重な財産だ。観客にプレゼントで投げても、わざわざ返しに来てくれるファンもいたぐらいだ。そして観客もいない場所でボトル投げたのはあの一度きりである。
 そのまま兄の驚異的な牽引力で、後続グループを数分引き離した。最後に独走しダビッドは危なげなくステージ優勝した。兄のステージ優勝と引き換えに、リーダージャージを着た僕は放心状態だった。だけど兄はポイントジャージを獲得し、一緒に表彰台に登れたのは心の救いだった。明日はさらに、峠が5つ連続する最難関のステージが待つ。

| 福島康司/こ〜ぢ | 想い出のレース | 07:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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